売上3倍増 味噌屋の快進撃

 国産の有機栽培原料にとことん拘っていることで、その業界では知らない人がいない味噌屋「マルカワみそ」もまた、生体エネルギー技術を採用している。生体エネルギーとは、長野県東御市にある生体エネルギー研究所の佐藤政二所長が 50 年以上にわたって研究し、理論化し、実践してきた技術である。農業者である彼は、最大の問題であった連作障害の克服をきっかけに生体エネルギーを発見する。連作障害とは、同じ農地で同じ作物を栽培し続けていると、やがて作物が育たなくなるという現象である。これは、現代科学で土壌を分析し、足りない肥料などを補っても発生するため、佐藤所長はそれだけではない「何か」が足りなくなると考え、その「何か」を「生体エネルギー」と名付けた。生体エネルギーを補給すると連作障害がなくなり、さらにエネルギーを追加すると農作物の成長が促進されたことから、彼は生体工ネルギーが植物本来の生きる力を機能させることに気付いた。農業の基本である土作りでは、鉱物、金属、塩類、水等の無機物と炭素を骨格とする有機物を使いこなさなければならない。つまり、農業技術は多種多様な産業へ応用、活用することができるのである。この 20 年余りの間に誰もが使えるツールが次々と商品化され、農業や食品加工はもちろんのこと、製造業からサービス業まで多岐にわたる分野で生体エネルギー技術が活用されている。創業 700 年を超える味噌屋がこの技術で生まれ変わった。

「有機」にこだわる

 「(売上が)1 億か 2 億になるのに、 6 年か 7 年かかったんです。それが、 2 億から3 億に、2 年でなったんです」。そう語ったのは、福井県越前市にあるマルカワみそ株式会社の河崎宏社長。1954 年生まれ。河崎家の歴史は、江戸幕府の天領を治める大地主の弟が分家独立し米作りを始めた 1772 年(安永 2 年)に遡るという。1914 年(大正 3 年)、六代目河崎宇右衛門が現在の場所で、麹屋を開業。マルカワみそ創業である。しかし、創業 100 年を超えていても、味噌屋の世界では誇れるほどの歴史ではないらしい。そんな味噌屋が生体工ネルギー技術を導入し、いまここに来て、どんどん売上を伸ばし続けている。2008 年度に初めて 1 億円に達した売上が、6 年後の 2014 年度に 2 億円になった。そして、そのたった 2 年後の 2016 年度、3 億円に届いたのである。

巨大な味噌樽が所狭しと並ぶ

 「越前有機蔵」を名乗るマルカワみそが使う原料の大豆、米、麦はすべて、国産の有機栽培。これは、「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」「環境よし」「未来よし」の五方よしを目指す河崎社長のこだわりである。彼は、取引関係の三方よしに加え、地球環境、未来の子どもたちにも良い企業を目指しているのだ。きっかけは、彼が東京農業大学 2 年生のとき、「食品添加物が健康を害する」という警鐘を鳴らした本を読んだこと。「食べ物は人の命を応援する物。それをかんなで削るようなことはしたくない。どうしても、無農薬、汚染のない味噌、健康にいい味噌をつくりたい。もともと、味噌はそれが当たり前」。彼は、そんな想いを持って大学を卒業し、家業に入る。

 1992 年、「そんなものをつくってどうするんだ」という、八代目河崎宇右衛門社長(河崎宏現社長の父親)の反対を押し切り、有機味噌をつくるため、オーガニック大豆と米の自社栽培を始める。まだ有機栽培の農家がほとんどない頃である。それから 3 年後の 1995 年、念願の商品化。しかし売れなかった。せっかくの有機味噌も、普通の味噌として普通の味噌の価格で売るしかなかった。地元福井では値段が高過ぎて売れないのかもしれない。そう考えて東京に売りに行った。オーガニックや健康をテーマにした展示会に、40~50 万円かけてブースをつくって出展。問合せはあるが売れない。3 年続けて出しても売れなかった。

 もうダメかと思った頃、自然食品・オーガニックに拘る、東京の高級スーパー「ナチュラルハウス」から声がかかる。国産原料を使っている有機味噌がマルカワみそにしかなかったからだ。当時、他社の有機味噌はほとんど海外の原料を使っていたのである。ようやく少し動き始め、ほっと一息つく。

小黒酒造の玄米酒との出会い

 2000 年に社長に就任。有機味噌販売を陣頭指揮するが、思ったようには売れない。借金も膨らんで行く。2007 年、大病を患った河崎社長は、一度は家族が葬儀の準備をする状態まで落ち込む。ようやく回復し退院したが、まだ仕事には復帰できない。そんなとき彼は、たまたま、横浜で開催された「船井幸雄・オープンワールド」に行ってみようと思いつく。そこで出会ったのが、小黒酒造(現DHC酒造)の玄米酒である。米を磨いて磨いて美味しくなるはずの日本酒。玄米でつくったら、普通は雑味が出るはずなのに、美味しく仕上がっている。日本酒と味噌は、麹を使っているという共通点がある。これはいいかもしれない。生体エネルギーという技術を使っていると聞いた。秋にセミナーがあると教えてもらった。自宅に戻った彼はインターネットで検索をかける。一番上に出てきたのが、生体エネルギ一応用商品の販売店である能源有限会社。中澤由幸社長と話をした彼は、生体システム実践研究会主催秋期特別セミナーに参加し、入会する。

 長野まで勉強会に通う。生体エネルギーを活用している会社を訪問する。「商品を食べた人までよくなる」と聞く。「本当か?」と心の中では疑問を持ちつつも、自分がやりたいことを実現するには、生体エネルギーが必要だと強く感じ始める。そんなとき、掛け続けていた社長保険が満期になり、550 万円を手にすることができた。それを借金の返済に充てても「焼け石に水」と彼は判断。2009 年、味噌生産工程に水誘導翻訳装置「きわみ Ml-6T 型」、「農業用命慧 150 アンペア」を導入する。

 それでも、売上は上がらない。決算まであと 2 ヶ月、今年もダメかと思い始めた頃。生体エネルギー導入後に仕込んだ味噌が販売できるようになる。売上が上昇する。前年対比、15 %アップ。この背景では、長男紘一郎氏の販売努力と次男紘徳氏の生産研究も大きな力となっている。

売上の次元が変わる

 売上はその後も上がり続けた。しかし、味噌の味は期待したほどは変わらなかった。「バランスが取れて美味しくはなりました。でも、砂糖水が塩水に変わるぐらい変わるかと思ってたんです。そごまでではなかった」と河崎社長。そこまで味が変わったら、味噌ではなくなっちゃうんじゃないかとも思うが、彼はあくまでも飄々と真顔で語る。生体エネルギーがまだ足りないと考えた彼は、「きわみ」を 3 本追加しようと思い、中澤社長に相談する。「新次元(きわみ)の水が世界ーだよ」と言われる。最後の手段で持っていた株券約 1,800 万円を売り、水誘導翻訳装置「新次元きわみ MS-1 型」を導入する。

「新次元きわみ」(左)と「きわみ」(右)

 売上はどんどん伸びる。長男紘一郎氏が注力したネット販売も伸びるが、営業努力をあまりしていない海外向けの売上も伸びる。2013 年、生体エネルギー技術を活用し、自宅に「いるなけみじんち」をつくると、金回りもよくなる。「運がよくなったんですわ。みなさんにもおすすめします」と河崎社長。

 2014 年、事務所と商品箱詰め出荷倉庫を兼ねた工場の新築を計画。自己資金は 35 万円しかない。取引銀行である福邦銀行を訪問する。まず無理だろうと思いながら、「1 億借りたいんやけど、年 500 万ずつなら返せる。20 年で借りれますか?」と聞く。「貸します」とまさかの即答。しかも、銀行創業 70 周年の特別金利だから、通常の金利よりも安くなる。そうこうしているうちに、今回の計画が、日本政策金融公庫の制度融資「中山間地域活性化資金」に該当し、そちらからの借金も可能なことがわかる。ごっちのほうが金利は安い。しかし、政府系金融機関が民間銀行の足を引っ張ることはできない。両方の金融機関の同額協調融資という形に落ち着き、合計で 1 億 5,000 万円が手に入る。さらに、越前市の「地球環境に貢献するモノづくり事業補助金」にも該当することもわかる。返さないでいいお金が 2,000 万円、入ってくる。その上、固定資産取得税約 200 万円が免除になり、電気料金も 8 年間 3 分の 1 が免除になることがわかる。

 河崎社長は、ここぞとばかり、新工場に、生体エネルギー資材を投入する。基礎には、地球からのエネルギーストロー、住環境改善ブロック、底力、力丸、力丸 X。いるなけみ基盤にも、底力、力丸、力丸 X。敷地外周と犬走りには、いるなけみ電気によるアース線を敷設。壁には、やす丸、とく丸。漆喰にトワエックスを加え、屋根の地板にもとく丸を入れる。冷凍冷蔵庫の電源は、蘇鮮蔵用さとり。電気誘導翻訳装置「さとり」L-W6、新次元「さとり」、いるなけみ電気も導入する。環境改善用に、しらべ、しらべ S、しらべ E 、しらべ ES も入れた。

 売上の増加はさらに加速する。わずか 2 年で 2 億円から 3 億円に到達したのである。注文はまだ増えている。増え過ぎて困っている。味噌は仕込んでから10~12 ヶ月寝かせておかないといいものがつくれない。充分な在庫がないのに注文が入ると、寝かせる期間がどんどん短くなっていく。とうとう 8 ヶ月まで縮まってしまい、彼は注文を断る決意をする。「(寝かせた期間が短い味噌を買った)お客さんががっかりするので、注文を制限してくれと頼みました」。

自宅に「いるなけみ基盤」を作る
新工場の基盤にセットされた住環境改善ブロック

環境の次元が変わる

 マルカワみそでは、自社の味噌蔵の中で、醗酵に使う麹菌を採取することもしている。「きわみ」の導入後、そこに雑菌が入ることがなくなったそうだ。生体エネルギー技術を導入し、準拠位置が上がった環境下では、麹菌や酵母などの有効菌群が優勢になるからである。しかも、その「蔵付き麹菌」の能力も上がっている。つくった甘酒や昧噌は当然、より美味しくなっている。

 また、マルカワみそのインスタント味噌汁は、化学調味料どころか、ダシもいっさい使っていない。なのに、「美昧しい」と評判になっている。生体エネルギー技術により、五味を超えた味覚が出ているからである。

 新工場で働く人たちにも変化が起きている。50 歳のときに一度は終わった女性従業員の生理が、52 歳でまた始まった。立ち仕事をしているアルバイトが「ここは疲れない」と言う。3 人いる花粉症の従業員が、3 人とも楽になったそうだ。風邪で休む人も少ない。また、敷地内で実施している「手作り味噌教室」に参加した人たちが「居心地がいい」と言う。「ほっとする。やすらぐ」そうである。

 「びっくりしたんですけど、味噌の仕込みに使っている地下水。こんなにまずいのかって思ったんですよ。カラダのエネルギーが奪われるかと思った」と河崎社長。地下 42 メートルから汲み上げられた地下水はそのまますべて「きわみ」を通して使われている。だから、気付かなかったそうだ。或る日、実験のため、もともとの水が必要になり、「きわみ」を通る前の水を採り、味見をして驚いたらしい。

 「逆に、「きわみ」は成長してます」と河崎社長は続けた。紙コップに入れたお酢を「きわみ」の水につけて味見をしたら、2 年前に同じことをしたときよりも、遥かに美味しくなっていたそうである。生体エネルギー技術には、自然の成長率を超える成長率がプログラムされているからである。

 インタビューの最後に、ふと思いついたことを聞いてみた。「河崎さん、生体エネルギー技術をもっと使いこなせたら、半年でも充分に美味しい味噌ができるようになるんじゃないですか?それができるツールも導入済みですよね?」「それっ、考えたことなかったですね。不可能だって思い込んでました」と河崎社長。この会社、創業 700 年を超えてなお、まだまだ伸びしろがある。

(本記事は2017年に執筆されたものです)