「農業も食品加工も初めて」という「ど素人」からスタートし、わずか 4 年で世界一のシェフを唸らせた「フルーツガーリック」という発酵食品がある。その躍進の裏にあるのが、生体エネルギー技術である。
世界一のシェフが Wow!! と叫んだ
「Wow!! 鳥肌が立った!」。2012年11月2日、デンマークの首都コペンハーゲン。当時、3年連続世界ナンバー1のレストラン、ノーマのキッチン。初めてフルーツガーリックを口にしたレネ・レゼピ、オーナーシェフが発したのがこの言葉である。
「美味しい。美味し過ぎる。黒ニンニクにはずっと興味があって、自分たちで作ってみたこともがあるが、これ(フルーツガーリック)はまったくの別物」と彼の話が続く。そしてノーマは、8,000 km 以上離れた京丹後から、100 kg 単位で取り寄せてフルーツガーリックを使い続けた。
フルーツガーリックの話に入る前に、ノーマの凄さをまず伝えたい。レストランの格付けで最も有名なのがミシュランである。しかし、ミシュランは三ツ星であれば、その中で優劣はつかない。一方、イギリスの業界誌「Restaurant」が毎年出している「The World’s 50 Best Restaurants(世界のベストレストラン 50)」は、明確に順位が出る。ノーマは、2016年時点で、そのランキングで 4 回、ナンバー 1 に輝き、世界で最も予約が取りにくいレストランのひとつと言われている。2015 年 1 月~2 月、本店を休業し、東京日本橋の「マンダリン・オリエンタル東京」で 6 週間の期間限定出店をした際には、予約開始から1日で 3,600 席全てが埋まり、最終的に 62,000 人のウェイティングリストができたと報じられた。また、2015 年には『ノーマ、世界を変える料理』、2016 年には『ノーマ東京 世界一のレストランが日本にやってきた』とドキュメンタリー映画も制作され、日本でも公開された。その厳しい気候から食材に恵まれず、美食は根付かないと言われた北欧の地。そこで、地元の旬の食材のみに拘り、これまでにない北欧料理を生み出し、料理界に革命を起こした天才シェフ。それがレネ・レセピである。
東大出身、子供は自宅出産、元政治家…何者?
その彼に「 Wow!! 」と言わせたフルーツガーリック。それを僅か 4 年で作り上げたのが、生体エネルギー理論と、猪突猛進・ブレーキなしで走り続ける 1 人の経営者である。
有限会社創造工房代表取締役社長、早川雅映。1962 年生まれ。彼の経歴はひと際異彩を放っている。私立灘中学校、灘高等学校から、東京大学理科II類に現役合格。 2 年の留年を経て農学部を卒業。普通の就職を選ばず、有機野菜配送運転手、タイでの長期滞在、マーケティング会社勤務を経験。1989 年、町興しイベントにスタッフとして参画したことをきっかけに、京都府の日本海側、丹後に単身移住。地縁血縁仕事なしからスタート。1991 年に有限会社創造工房を設立し、まちづくり・環境関連の調査研究に従事。結婚し、子供 3 人全て自宅出産。1997年のナホトカ号重油災害をきっかけにボランティア活動を始め、それが政治家の道につながる。2002 年、網野町会議員選挙トップ当選。市町村合併後、京丹後市議会議員選挙 4 位当選。2008 年、京丹後市長選挙に出馬し落選。
ど素人からわずか 4 年、奇跡が起きた。
そう。ここまで、彼のユニークな人生はニンニクとは交錯してない。落選後、たまたま出会ったのが黒ニンニクである。猪、鹿、猿、熊などが食べないニンニクは、限界集落の農地でも栽培しやすく地域興しにつながると直感。農商工連携の認定を取り、地元の契約農家が作ったニンニクをキロ 1,000 円(当時の加工用ニンニク市場価格の2~3倍)で全量買い付ける形で黒ニンニクの製造を開始した。それまでは回り道しかしていないように見えた彼の人生は、ここからブレーキなしの猪突猛進型へと変わっていく。
黒ニンニクは、ニンニクを発酵させてつくる。湿度を保った中、六十度の温度で約 1 ヵ月発酵させると、独特の刺激臭がほぼなくなり、甘酸っぱく、ドライフルーツのような味わいになる。彼はそれを「京丹後フルーツガーリック」と名付けた。
「お金がないから」と言うのが主な理由で、黒ニンニクの製造ラインはほぼ全て、早川社長の手づくりである。しかし、その彼が、発酵環境を最高のものにするための生体エネルギー資材には、自分の金も補助金も注ぎ込み、借金を重ねてでも投資した。水誘導翻訳装置「きわみ」、電気誘導翻訳装置新次元「さとり」(高圧用)、ESを含む「しらべ」全種類、「トワエックス」、いるなけみ基盤。一度にではないが、少しずつ着実に投資を重ねた。理論を学ぶために、月に何度も片道 9 時間かけて、長野の生体エネルギー研究所に通った。そして、農業も食品加工も「ど素人」からスタートし、わずか 4 年で、彼は世界ナンバー 1 のシェフを唸らせたのである。
ダントツの高品質を実現・継続
フルーツガーリックを評価しているトップシェフは、レネだけではない。2016 年の世界のベストレストラン50 のうち、ノーマを含め、 7 位のムガリッツ(スペイン、サン・セバスチャン)、29 位のティケッツ(スペイン・バルセロナ)、48 位のブルーヒル(アメリカ・ニューヨーク)と、なんと 4 軒ものレストランがフルーツガーリックを使っている。ノーマの前に世界 1 位を 5 回獲得し、2011 年に惜しまれながら閉店したエル・ブジ。そこの元総料理長たちの店ドス・パリージョス、コンパルティール、ディスフルタール、パクタや、ミシュラン三ツ星のマルティン・ベラサテギ、 サンパウもフルーツガーリックを大絶賛し、 日本から取り寄せた。 日本のフランス料理界でも、 GINZA kansei の坂田幹靖シェフが採用したのを皮切りに、 10 年連続ミシュランニつ星ル・マンジュ・トゥーの谷昇シェフはフルーツガーリックにバニラとショコラを合わせたアイスクリームを完成させてコース料理のデザートに組み入れ、ミシュラン史上最短で三ツ星を獲得した大阪の HAJIME も使っている。 こんな食材は、他にはない。
黒ニンニクは日本で数十社がつくっている。 長いところは 20 年以上前から取り組んでいる。 しかし、まだまだ歴史が浅いフルーツガーリックがダントツで美味しい。 目をつぶって食べると「ニンニク100%、 味付けなし」だとはとても思えない。 匂いも違う。 食べた後「あなたニンニク食べたでしょ」 と言われることもない。 他社の黒ニンニクを食べると、後悔するぐらい美味しくなく感じる。
それを実現させているのが生体工ネルギー技術である。電気誘導翻訳装置「さとり」を通すことで、電気が変わる。その電気を使って発熱させると、 熱された空気が変わり、空間全体が変わる。 中にいる微生物が活性化する。 活性化した微生物が食べ尽くしたニンニクは完全発酵する。完全発酵したフルーツガーリックでは、 他の黒ニンニクで残っているような雑味がまったく感じられない。 また、引きつける力が強いため、 他の黒ニンニクよりも水分を残したままでも、 皮の外に液だれすることがない。 圧倒的にジューシーに仕上げることができるのだ。 さらに、 生体エネルギーの次元が上がると、 従来の五味を超えた昧覚が出る。 これまで経験したことがない新しい味が加わっているからこそ、 鋭敏な味覚を持つトップシェフたちが大絶賛する。
「マジックではない。 テクノロジーです」
2015 年 10 月、 ドイツのケルンで行われた世界最大の食の展示会アヌーガに、早川社長はフルーツガーリックを出展した。ケルンメッセという、幕張メッセよりも大きな会場をすべて食の展示会が貸し切る。 地元ドイツからの来場者は 1 割程度、残りは、文字通り全世界から食のバイヤーたちが集まってくるイベントである。
ここで彼は、通常の試食に加え、或る実験をした。小さな紙コップ 2 つに、地元のスーパーで買ってきた赤ワインを注ぐ。好きなほうを 1 つ、手に取ってもらい、フルーツガーリックの上に置いてもらう。フルーツガーリックの上に置いたものと、置かなかったものを飲み比べてもらうという 実験である。多くの人がまず「上に置く」の意味がわからす、戸惑う。上に置くだけでは何も変わるはすがない、そんな意味がないことを指示されるはずがないという常識があるからだ。やるべきことがわかった人は次にみな怪訝そうな顔をする。そんなものを飲み比べて味が違う訳がないと思っている。しかし、実際に飲み比べると、顔色が変わる。「おかしい。味が違う。これはマジックか?」早川社長は答える。「いや、テクノロジーです」と。実際、全世界、様々な地域からの様々な人種の人たちの9割が、味の違いを認識した。フルーツガーリックの放射するエネルギーが確実に食のプロたちの舌を捉えている。それは、4 年で世界ナンバー1のシェフを唸らせた後も、早川社長が止まっていない証でもある。生体エネルギー理論の発展とともに、継続して新しい技術を取り入れ、フルーツガーリックもまた進化を続けているからである。
「フルーツガーリック、入ってる!」
進化はそれだけではない。 契約農家とのトラブルをきっかけに、 原材料のニンニクも自社生産に切り替え、 いま 5 ヘクタールの畑を社長自ら陣頭に立って耕している。 もともと農業から始まった生体工ネルギー理論。 畑のニンニクにまでそれが加算されたら、 フルーツガーリックはいったいどこまで行くのであろうか。
フルーツガーリックのエキス「黒の極味」は、 醤油、 ポン酢、マヨネーズ、ドレッシング、カレー、シチュー、味噌、魚の煮物、炒め物、安物の赤ワインなど、ありとあらゆるものを、ほんの数滴加えるだけで、美味しくする。肉や魚を料理するときの下処理に加えると、味だけでなく、食感も変わる。2011年には、日本野菜ソムリエ協会主催調昧料選手権「隠し味ちょい足し部門」最優秀賞も受賞している。 ありとあらゆる食品の加工に使える可能性がある。
また、フルーツガーリックは人の健康にも寄与できる可能性が大きい。カラダが温まる、血流がよくなる、疲れにくい、風邪をひきにくいなど、多くの「顧客の声」が集まっている。ショウジョウバエの寿命が延びたり、体温の回復が早まったり、冷え性の改善に効いたりという実験結果も揃いつつある。
いずれは、ありとあらゆる加工食品や調味料に、フルーツガーリックが入っているようにしたい。そうなれば、より美味しい物で、より多くの人たちを健康にできる。「インテル、 入ってる」状態をフルーツガーリックでつくりだすことが、早川社長の当面の目標のようである。ほんの少量加えるだけで何でも美味しくなり、しかも、食べた人が健康になる。こんな不可能を可能にできる技術も生体エネルギー理論以外では聞いたことがない。そして、それが「ど素人」にも実現可能なのである。
(本記事は2017年に執筆されたものです)