音楽を包む、そして、世界を包む

 生体エネルギー技術を印刷工場に導入し、紙の能力を高め、紙が包むCDの能力を高め、音まで変わるCDジャケットを製造しているのが株式会社ジャパン・スリーブである。

なぜかはわからないがよく売れる

 その会社にCDジャケットを頼むと「なぜかよく売れる」と音楽業界で隠れた噂になっている印刷会社がある。東京都墨田区両国 3 丁目。国技館から徒歩 5 分のところにある株式会社ジャパン・スリーブがその会社である。1968 年に設立、現在資本金 2 億 500 万円、従業員 285 人。音楽CDジャケットの印刷で約 3 割のシェアを持っている。2015 年 4 月、静岡県島田市の 9,700 坪の敷地に、4,500 坪の新工場を建設した。

 東日本大震災をきっかけに、それまで海沿いにあった工場を高台に移転。その新工場こそが、「なぜかよく売れる」の最大の理由である。建設に当たっては、先ず工場敷地の周囲約 700 メートルにアース線を廻し、生体エネルギ一応用環境改善資材「底力」で埋設。そのアース線に、電気誘導翻訳装置「さとり」電源で充電したバッテリーから通電することで、「さとり」の情報を地球まで伝え、敷地の環境を整えた。また基礎工事では、建物基礎の四隅と中央に住環境改善セットで製作したコンクリートブロックを設置した。工事は非常に順調に進み、工事関係者からは「この現場は何かに守られている感じがした」と言われたそうだ。移転前から使い続けていた水誘導翻訳装置「きわみ」( V型、Ml-l )、新次元「きわみ」( MS-V )、「さとり」( H-W12、目的別(食品・工業・生体システム用))、いるなけみ電気(高圧用) に加え、2015 年 11 月にはさらに、新次元「さとり」(高圧用)も導入している。まさに、生体エネルギー満載の新工場である。

 「なぜかよく売れる」というのは、実は、生体エネルギー理論で説明することができる。生体エネルギー満載の新工場でつくられた CD ジャケットからは、能力が高い放射エネルギーが発せられている。現代科学ではまだ測定することができていないが、人はそれを敏感に感じるごとができる場合がある。目にした人が、無意識のうちにそれが自分にとってプラスになると感じとることができると「よく売れる」のである。

新工場のアース線とコンクリートブロックの配置

紙が音を変える

 東京都杉並区の閑静な住宅街。ここに、環境音楽家小久保隆氏がオフィスを構えている。2016 年 9 月、そのオフィスを訪問した。ジャパン・スリーブが印刷したジャケットが音を具体的にどう変えるか、実験してもらうためである。実験に使ったのは、2006 年に発売された彼のCD「 Quiet Comfort 」。彼が生体エネルギーを知る前の作品である。盤の製作時期もまったく同じ CD を 2 枚準備してもらった。片方の CDだけ、2014 年発売の「 Natural Comfort 」のジャケットで包む。このジャケットがジャパン・スリーブ製である。包んだ時間は 5 分。まず、何もしていない CD を聞いてもらい、次に、ジャケットで包んだ CD を聞いてもらった。

 「(包んだほうの CD は)音のざらつき感が減っています。ざらつきというのは、説明が難しいのですが、映像や写真でいうところの解像度みたいなものと言ったらいいかもしれません。フォーカスは合っているけど、解像度が粗いからざらついているという感じが減っています。音の立体感も増していますね。音がひとつ前にも来るし、後にも来る。前後の広がり感が増えました。それから、キラキラする風鈴の音が滑らかになっています。より風鈴らしい音が出ています」と小久保氏。「あと、音的に表現しにくいのですが、一番差があるのは、メロディーラインの存在感。これが充分に説得力を持ってしっかりと見えてきます。一番びっくりしたのはそこですね」。そして、彼はこう締めくくった。「でも、入れ物だけで変わっちゃうのだから、すこいですよね。しかも、私好みに変わっています」。

 作り手が、作りたかったけれども、自分の力や機器の能力やデジタル処理の至らなさで到達できなかった音の方向へとシフトしているそうである。音楽家にとっての理想郷が CD ジャケットという形でここに実現している。

音の違いに感心する小久保隆氏

音楽を包む

 ジャパン・スリーブの金井彬代表取締役社長、76 歳(2017年現在)。27 歳のときにこの業界に入り、以降 49 年間、この道一筋の彼は、自分たちの仕事は「音楽を包む」ことだと言う。普通に言えば「 CD を包む」である。しかし、それを彼は敢えて「音楽を包む」と表現する。そこには、CD という物理的な「モノ」を入れるジャケットを造っているのではなく、その中身の「音楽」を包むジャケットを造っているのだという、彼の強い想いが入っている。

 「 15 年前に生体エネルギーと出会ってから、そのような考えに変わりました。生体エネルギーの力で、器であるジャケットに想いを入れることで、CD の中身である音が変わるということを、身をもって体験しています」と金井社長。生体エネルギー理論では、動植物に限らず鉱物、分子、原子に至るまで存在はすべて生きて成長する仕組みを持っていると考えている。「音をよくしたい」という金井社長の想い=目的は、水誘導翻訳装置「きわみ」を通すことで、水に伝わり、水の能力を高める。印刷は水と油(インキ)の反発作用を利用するが、反発する(水が油に触れる)ことで水がインキを教育し、インキが紙を教育する。電気誘導翻訳装置で電気の能力を高めると、印刷機械の能力が高まり、それが紙に伝わる。工場に投入されたさまざまな生体エネルギー資材も、建物全体の環境を改善し、最終的には紙まで届く。そうやってつくられたジャケットが CD を包んで生態系をつくり、教育する。すると、CD の能力が高まり、音がよくなる。こうやって、ミュージシャンも CD 会社も知らないところで、音が成長している。そして、音楽をかけている空閻も、聞いた人たちも成長する。さらにその先で、成長した人たちが、さらに世の中をよくしているかもしれない。導入した生体エネルギー機器や資材に充分な能力と準拠位置があれば、エネルギーをたすきリレーのように次へ次へと伝えて行くことができるのである。

縮んでいく業界で好調な業績

 「友人の紹介で生体システム実践研究会栃木県支部の勉強会に出席した私の妻が、(支部事務局の)坂本友見子さんと知り合いになったことがきっかけでした」。「環境が整う」という話を聞いた金井社長は、すぐに自宅に、低圧の電気誘導翻訳装置「さとり」と、家庭用の水誘導翻訳装置「きわみ」を設置した。「実感として気持ちよくなったんです。外から入ってくると、それまでの環境とは違って安らぐように感じました」。

 「会社もこういう環境にしたい」と考えた彼は、生体工ネルギーを活用して名刺や印鑑をつくっている株式会社日本一工芸を大阪まで見学に行った。そこで、生体エネルギーを導入して印刷すると「インキが少なくて済む。インキや溶剤の印刷工場独特の臭いが少なくなる」ことを学ぶ。工場の電気に高圧用の「さとり」、工場で使っている井戸水と水道水の両方に「きわみ」を導入することを決意した。すると、実際に臭わなくなった。見学に来る人にも「印刷会社なのに本当に臭いがないですね」と言われるようになる。2 年後電気の能力を高めるために「さとり」を強化。因果関係は証明できないが、売上も利益も上がった。印刷用の機械も性能がよいものに入れ替えた。

 東日本大震災のとき、テレビから流れる津波の恐ろしさを目の当りにした彼は、社員の命が第ーと考え、工場を海のそばから高台に移転することを決意。大変な資金(総工費 36 億円)が必要だったがそれが可能な体力がついていた。実はこれ、彼の業界では極めて異例なことである。

 CD はすでに構造不況業種である。世界の音楽ソフト販売では、すでにデジタル配信が CD から主役の座を奪っている。国際レコード産業連盟( IFPI )によると、2014 年の売上高はデジタル販売が 68 憶 5 千万ドル。CD やレコードの 68 億 2 千万ドルを逆転している。欧米を中心に、定額制で聴き放題のサービスが急速に普及したのが原因である。日本だけが特殊で、CD やレコードがなお 8 割近くを占めているとは言え、売上高は年々減少を続けている。

 その中で、ジャパン・スリーブは売上を伸ばしているのである。生体エネルギー技術のことは CD 業界に伝えてはいない。しかし、印刷の仕上がりにはとても高い評価をもらえている。そして、「なぜかよく売れる」と隠れた噂になっている。

 印刷用の機械の故障や摩耗が少ないのも経営的に大きなプラスになっている。メンテナンスをしに来たメーカーの担当者が驚くようなレベルだそうだ。

 また、移転で工場の規模が変わり、面積と機械設備が約 1.5 倍に拡大したが、電力使用量は 1.5 倍にはならず、たいして増えていない。そして、使用電力を機械が稼いだ額で割った「原単位」で比較すると、大きく向上している。「さとり」の誘導翻訳が力を発揮し、電気の仕事工ネルギーの能力が上がっている。

年度別・月別原単位推移
(新工場稼働役1年後から原単位が大幅に改善)

「世界を包む」パッケージ企業へ

 業績が好調だとは言え、日本もいつ欧米のように、CD が売れなくなるかわからない。音楽以外の次の柱をどう建てるかが金井社長とジャパン・スリーブの喫緊の課題である。その取り組みのひとつが、初めての自社製品「カ士クッキー」である。

 本社が両国にあることからできた国技館との繋がり。売店で物品の販売をさせてもらえることになり、社内でアイデアを募って完成させた。クッキーは地元の洋菓子屋に依頼。パッケージは社内のデザイナーが人気力士のイラストをデザインしたオリジナル商品である。これが大当たり。相撲の場所中は売店から「絶対に品切れしないようにしてほしい」と言われる。両国国技館だけでなく、大阪、名古屋、福岡の各大相撲場所でも販売して人気商品の一つになっている。ー場所( 15 日)で 200 万円売り上げるそうだ。

場所中大人気の「力士クッキー」は初の自社製品

 静岡県焼津市でちくわや練り物を製造販売している株式会社丸又。ここのパンフレットを最近、ジャパン・スリーブが印刷した。「紙なのに、ちくわがそこにあるように本物のように見える」とパンフレットを見た人が口を揃える。「カがある商品写真にしていただいたと思いました。特に表紙の写真がビビッドというか生き生きとしているように感じました」と丸又の鈴木理恵子代表も感謝している。「私がこのパンフレットを持参して営業に出向く機会が増えました」と彼女は続ける。ジャパン・スリーブで印刷されたチラシは、それを配る人も、もらう人もよくすることができる。ジャパン・スリーブでチラシをつくると「なぜか売れる」と言われるようになる日も近いかもしれない。

株式会社丸又のパンフレットの写真

 人気力士のイラストを切り抜いた「力士カレンダー」、両国に縁の深い浮世絵画家、葛飾北斎の作品を取り入れた写真立てやスマホ用巾着などの作成・販売も始めている。また、有名チョコレートメーカーから、パッケージの注文も入るようになった。地道ではあるが、音楽以外の業務が次第に広がりつつある。「この動きを大切にして、いずれは世界に必要とされるパッケージ企業へと大きく発展してゆきたい」と金井社長は語る。「音楽を包む」から「世界を包む」への進化である。

 しかし、彼が考えていることは「包む」ことだけではない。新工場の最高の環境で生まれるものすべてが、こっそりと、しかし、確実に世の中の環境をよくしている。ジャパン・スリーブが CD シェアの 3 割を持っているというごとは、いま日本の CD ショップに置いてある CD の 3割が「生体エネルギー」商品であるということである。CD ショップが素晴らしい環境になっているに違いない。CD を購入した人がそれを自宅に持ち帰れば、今度はそこの環境がよくなる。また、工場で出る原紙の裁ち屑や廃棄用紙は回収業者から製紙会社に渡され、再生紙·段ボール・トイレットペーパー等になり、再び世の中に出る。そして、環境をよくする。工場が稼働すればするほど、人類・宇宙・自然に貢献しているのだ。「それが私のひそかな楽しみです」と金井社長は微笑んだ。

(本記事は2017年に執筆されたものです)