電気で環境を変える

 生体エネルギーの原理を応用し、微弱な電磁波を用いて、空間の能力を上げるツールを開発しているのが有限会社アイ・シー・アイ研究所である。

理論物理学のさらに先を行く

 有限会社アイ・シー・アイ研究所所長、新田雄久工学博士。昭和 12 年生まれ。約 35 年間、日立製作所で超高スピードのコンピュータに対応する超高性能の半導体(コンピュータの演算装置やメモリなど)の製造技術開発に携わった彼は、定年退職後、半導体の技術開発コンサルタントとして独立した。半導体の技術開発は、どんどん小さくしていく方向へ進化している。しかし、小さくするのには限界がある。いずれ限界が来て、将来、壁にぶち当たる。そのときは材料を何とかするしかない。しかし、材料の改良も、今の技術ではお手上げ状態。そう悩んでいたとき、彼は生体エネルギー技術に出会う。水誘導翻訳装置「きわみ」を使えば、半導体を洗浄する際に、水を通して半導体に情報を入れることができる。これまでとはまったく違った半導体をつくることができる。そう確信した彼は、その話をさまざまな半導体メーカーに持って行った。そして、ことごとく討ち死にした。現代の「科学的」常識を遥かに超えた発想を受け入れてくれる企業が一社もなかったのである。

 学生時代、新田所長は物理を専攻していた。量子力学を学び、原子核構造を勉強した。だから、彼は「生体工ネルギー理論は夢物語ではない」と直感したそうである。たとえば、量子エンタングルメント。エンタングルメントの関係にある 2 つの素粒子は、一方の粒子を観測してそのスピンの向きがわかれば、他方は観測するまでもなく、反対向きのスピンに決まる。これは、どんなに離れていても一瞬で起こる。理論的にも実験的にも証明されている。SF の世界と考えられていた「トランスポーテーション」が量子レベルで実証されているのである。だから、生体エネルギー理論で情報が瞬時に移動するとしても、それは充分に有り得ると、新田所長は考えた。

 むしろ、最先端の理論物理学には判定者がいない。その理論を誰も使ったことがないので、正しいかどうかは誰にもわからないのである。一方、生体エネルギーの理論は実際に使うことができている。「理論物理学のさらに先を行っている可能性が強い」と、新田所長は続ける。

電磁波のマイナスを消したい

 「半導体を変える」ことを諦めた彼は、生体工ネルギー理論を実際に使ってみることを考え始めた。そのとき頭に浮かんだのが電磁波によるマイナスである。強い電磁波(電磁気)が人に悪影響を及ぼすことは知られていて、国で規制されてもいる。しかし規制内であっても、悪影響があるのではないかと疑問を持つ人は多い。彼がいた電機業界には「電磁波は体に悪いのでは?」という噂もいろいろある。生体エネルギー理論と電磁気について色々と考えていくうちに、「今の科学では捉えられない何かがあるのではないか?」「この問題を解決するには生体エネルギー技術を用いるしかないのではないか?」そう考えるようになり、彼は新しい製品をつくることを決意する。当時( 2003 年)爆発的に普及し始めていた携帯電話に着目し、その害を防ぐ製品の開発に着手した。

 生体エネルギー技術では毒を薬に変えることが出来る。準拠位置を高めることで、「奪う」存在から「与える」存在になるのである。この仕組みを携帯電話の充電に応用することで出来上がったのが、携帯電話用誘導翻訳器「天音」である。また、スマートフォンの普及に伴い、それに対応する「天音 S 」も完成させた。スマートフォン特有の大量情報を扱うが故の問題点に対処するプログラムを組み上げたのである。

電話をかけた相手もよくなる

 「天音」、「天音 S 」は電磁波のマイナスを消すだけではない。それらを通して充電した携帯電話(スマートフォン)を使うことで精神的なストレスが軽減し、免疫力が上がるという実験結果も出ている。しかも、その機器を持った人だけではなく、通話した相手方にも同じような効果が現れる。通話をすることで相手に情報が伝わるため、それらの効果も伝わるのである。「電話をかけた相手をよくすることができる」という理想郷が実現している。

 図 1 のグラフは精神的ストレスを評価するための STAI という検査の結果に天音 S が与える影響を調べたものである。天音 S を使わないスマートフォンでは通話前後で送信者の STAI の値に大きな差はないが、天音 S で充電したスマートフォンで通話した場合は通話前と比べて大幅に値が下がって(ストレスが下がって)いる。

 また、図 2では、唾液中の免疫成分であるイムノグロブリン( S— |gA )を測定すると、天音 Sで充電したスマートフォンでは通話後に送信者のイムノグロブリンの値が増えていることがわかる。これらの結果は、通話する双方ともに天音 S を使用している場合は更に効果が高まる。通話は双方向なので、受信側も使用することで、送信者への影響が加算されるのである。

大葉の育ちが違う

 新田所長が携帯電話の次に着自したのが、電磁波が生き物に与える影響そのもの、つまり電気の内容である。電磁波が人やその他の生き物に与える影響は悪いものばかりではない。可視光線も電磁波で、特に太陽は地球上の生命を育んでくれるし、雷が落ちた場所では植物やキノコがよく育つという。電気にそのような準拠位置、情報、プログラムを追加することができれば、生き物に命の恵みを与えてくれるような電気にすることができる。そう考えて開発したのが、「命慧(いのちえ)」、「農業用命慧」である。

 農業用命慧は、特に植物に対して大きな影響を与えることができる。図3 は大葉の苗を育てる環境に農業用命慧を用いた(電熱線を用いて環境を構築した)際の影響を見たものである。農業用命慧を用いた環境では発芽率も良く、また苗の生長がそろっているという特長が見られる。苗の根を拡大して見ると、細かい羽毛のような根がたくさん生えていることがわかる。農業用命慧を用いた方が明らかに生命力の高い大葉になっている。

信じてなくても結果は出る

 我々の身の回りには自然、人工問わず様々な電磁波が溢れている。電磁波は生き物に直接影響を与えるだけでなく、環境も変える。というより環境そのものである。命慧「しらべ」シリーズは、電磁波から身を守ることだけが目的ではない。むしろ積極的に自分にとって良い環境を作ることを実現させている。生体エネルギー理論では、全ての存在は外から内に入ってくるものに対して何らかの処理を行う(悪いものがそのまま入らないようにする)仕組みを持っていると考えている。「しらべ」は、この仕組みの能力を高めるために電波や磁場を使っているのである。

そして、実際に結果を出している。図4 は活性酸素量と抗酸化力を調べたグラフである。「しらべ」環境では様々な病気や体調不良の引き金となる活性酸素の量が減り、酸化に対する抵抗力である抗酸化力が高まっている。「自分にとって良い環境」という理想郷が実現している。

 図5 は正常ヒト培養細胞株を用いて細胞増殖の能力をテストしたものである。命慧「しらべ E 」「しらべ」「しらベ S 」環境に 3 時間置いたものと、何もしないものを 144 時間培養してその数を比較している。しらべ環境に置いたものは、置かないものと比べて約 1.5 倍、つまり 50 %も多く増殖している。ここで興昧深いのは、培養器で培養した細胞、つまり人間の意識が関与していないただの細胞でもしらべ環境によって分裂が活性化するということである。

 もう一つ興味深い実験結果がある。通常被験者を用いて実験する場合は人の意識が結果に影響を与えないよう、ダブルブラインド方式で行われる。実験をする側も被験者の側も、どちらが実験環境なのかがわからないようにして実験をするのである。そこを敢えて被験者に「しらべ」の効果を教えるという実験を行った。被験者の中には「しらべ」の効果を信じる者も、信じない者もいる。結果は図 6のようになった。効果を信じない者でも抗酸化力の値は改善する。しかし効果を信じている者はそれ以上に抗酸化力が高まったのである。

 使う人の意識に関わらず「しらべ」は人の様々な機能に対して良い影響を与えてくれる。しかし「しらべ」の効果を意識して使うことで、更にその能力を引き出せるのである。使う対象にきちんと意識を向けることが、生体工ネルギー技術を使いこなす上でカギになるのだが、それが実験結果でも示されている。

株式会社マルセイの2014年春の展示会に出品した「しらべ」シリーズ

電気で世界を変える

 今や我々の生活に電気は欠かせない存在となっている。この電気にもし問題があるのなら、これを解決していかなければ我々に未来はない。それをできるのが生体エネルギー技術であり、新田所長である。彼にはこれからも製品の開発を続けていってもらう必要がある。

 ただ、彼の想いはそれだけではないようだ。「世の中のものほとんどに半導体(マイコンなどのコンピュータ)が入っているんですよね。ということは、半導体を変えることができれば、すべてのものが変えられるんです。半導体そのものを変えなくてもいいんです。たとえば、その組立技術に作用するだけでも変えられます。あるいは、半導体はチップを入れ物に入れます。その入れ物に生体エネルギー技術を入れるだけでも変えることができるんです」。新田所長は熱く語ってくれた。「半導体から世界を変える」ことも、どうやらまだ諦めてはいないらしい。

(本記事は2017年に執筆されたものです)